@アルミニウムとアルマイト
Aアルミニウム表面処理の種類
Bアルミニウムの特徴
Cアルミニウム材料の陽極酸化処理性
Dアルミニウム材料とアルマイト品質の関係
E材質・合金成分のアルマイトへの影響
F熱処理による影響
G素材加工・前処理(表面テクスチャー)による影響
H封孔処理
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豆知識 アルミニウムとアルマイト




アルミニウムとアルマイト
アルミニウムという元素は地球上の岩石や土壌などに多量に含まれていて、世界中に広く分
布し、地殻の約8%を占めています。この割合は酸素、ケイ素についで3番目に多く、金属元
素としては第一位です。 
発見されたのは1807年で、銅は紀元前5000年以上前から、鉄は紀元前1000年以上前
から人類との関わりがあったのに比べて、全く新しい金属といえます。
 アルミニウムは、水酸化アルミニウムを主成分とするボーキサイトという鉱石から、電解精錬とい
う方法によって取り出されます。この水酸化アルミニウムを構成そいているアルミニウム原子と酸
素原子とは強固に結合しているために、高いエネルギーをもった電気の力を借りなければ、
その結合を切り離すことができないからです。  このように、アルミニウムは他の金属に比べ
て、大変遅い 1886年になって初めて工業的に製造されるようになった歴史の新しい金属
です。 しかし、日本のように電力料金の高い国では、アルミニウムの精錬は企業として成り
立たず、現在では全く行われなくなり、海外からアルミニウムインゴットを輸入し、圧延加工を
行って素材の供給がされるようになっています。 また、アルミニウムは軽い(鉄の1/2.9、
銅の1/3.3)上に、銀色をしていて、いかもいろいろな形に加工できるなど、多くの特長があ
ります。 そのため現在では銅を追い抜き、鉄につぐ重要な金属となっていて、各種工業用材
料から日用品まで幅広く利用されています。アルミニウムがいろいろな分野に広範に用いられ
ている程度によって、その国の文明度が計られると言っても良いでしょう。 しかし、このような
素晴らしい特長をもったアルミニウムにも短所はあります。それは、アルミニウムの表面は鉄
などに比べて軟らかく傷つきやすいこと、また汚染した大気や薬品が接触すると次第に腐食
されてしまうことです。 無処理のアルミニウムを空気中に放置すると、空気中の酸素がアルミニ
ウム
と結合して表面に酸化アルミニウムの薄い膜が生じます。この薄幕は、アルミニウムの母材を
保護して内部への急激な腐食を防ぎます。 この酸化アルミニウムの皮膜を、アルミニウムの表面
に強制的にもっと厚く形成させることを『陽極酸化処理』と言い、「アルマイト」と通称しています。
 この皮膜は非常に硬く、耐食性に優れており、しかも素地のアルミニウムから剥がれることは
ありません。また,この皮膜の表面には電子顕微鏡的な非常に小さな穴がたくさなるので、染
料などを吸着させて着色する事もできます。 この処理を学問的に言うと『陽極酸化』、それに
よってできた膜を『陽極酸化皮膜』 または『アルマイト皮膜』とよんでいます。 保護力に優れ
た厚い陽極酸化皮膜が生成できるのは他の金属にはない、アルミニウムだけに見られる特別
な性質です。 ただし、アルマイト処理をしたアルミニウムは、金属のアルミニウムと陽極酸化
皮膜(一種のセラミックス膜)との複合材料ということができます。
 わが国でのアルマイト処理技術は、 1923年い数多くの先端科学技術を世に送り出した理
化学研究所で誕生しました。 今日でも日本のアルマイト技術は世界でトップレベルにあります。
 わずか120年程という歴史の浅いアルミニウムがいまや銅をしのぎ鉄につぐ重要な金属に
まで発展してきたのは、アルマイト処理技術の確立と進歩が重要な役割を果たしてきたからだ
といえます。 アルマイトの優れた特性はあらゆる工業用品や実用品の機能分野、装飾分野に
生かされていますが、そのほかにもエレクトロニクスやナノテクノロジーの分野で今後も広範に利用
されていくでしょう。

アルミニウム表面処理の種類
アルミニウムをいろいろな用途に用いるためには、腐食し難く耐久性をもたせる、軟らかい欠点を除くために硬くして傷つき難くする、装飾効果を一層高めるなど素材の表面に種々の表面処理を施す必要があります。
種類 処理法 特徴
塗装
印刷
塗料を刷毛、スプレーなどで、インキを印刷機などでアルミニウム表面に塗布する 顔料、着色材の選択によって自由な色や模様を出せるが、損傷剥離の恐れがある
化成 化学薬品の溶液に浸し、表面に化学反応で厚さ1ミクロン程度のアルミニウム化合物の薄膜を生成させる 耐食性や塗料密着性は向上するが、薄膜のため耐磨耗性はない
処理法が簡便である
めっき アルミニウムを水溶液の中で陰極とし、電気分解して金属膜をつける 銅、ニッケル、クロムなどの金属膜が
できるが、曲げ加工で剥離することがある
アルマイト アルミニウムを硫酸などの水浴液中で陽極とし、電気分解して厚い酸化皮膜を生成させる 無色透明な陽極酸化皮膜は耐食性、耐摩耗性に富み、染色や着色にも適し、装飾性が高い

アルマイトはアルミニウム金属の特徴と、アルマイト(一種のセラミックス)皮膜との機能が複合された
特性をもっています。アルマイトを理解するために、アルミニウムの特性を知る必要があります。







 ア
 ル
 ミ
 ニ
 ウ
 ム
 の
 特
 徴
 材料・合金の特性と用途
アルミニウム材料は製造方法によって、展伸材、鋳造材に分けられています。展伸材には板、コイルまどの圧延材、押出形材及び鍛造材があり、鋳造材にはダイカスト及び鋳造があります。また、アルミニウムの強度や加工性、耐食性などの特性を改善するために、マグネシウム、珪素、マンガン、銅、亜鉛などを少量添加した合金が作られています。これらの合金成分は、アルマイトの良否にも大きな影響を与えるので、そのアルマイト処理性を理解して材料の選択をする必要があります。

(表 1−1 参照)
 軽量・省エネルギー性
アルミニウムは密度は、2.7g〜2.8gで、鉄や銅と比べると約1/3の軽さです。この軽さです。
この軽さは多くの分野での軽量化に役立ち、自動車、航空機、船舶、車両、建築物などのスピードアップと省エネルギーにつながり、地球環境に優しい金属といえます。
 銅に四敵する強さ
純アルミニウム(1000系)の引張強度はそれほど高くはありませんが、厚延加工を施すと、強度が高くなります。合金の中には、ジュラルミン(2000系)や超ジュラルミン(7000系)のように銅に四敵する強度を持つものもあります。
 加工性が優れている
アルミニウムの良好な加工性を代表するものに、アルミニウムの押出加工があります。
アルミニウムを加熱して、ダイスの中を高圧にして押出し、複雑な断面形状のものを連続して作る事ができます。 建材用サッシや放熱用ヒートシンクなどはこの方法で作られています。更に、圧延、曲げ、絞り、切断などの加工も容易にでき、板、棒、管、線、箔、粉、などの形状も容易に作る事ができます。
 磁力線の影響を受けない。
アルミニウムは磁石を近づけても付かないため非磁性金属と呼ばれ、この特性はコンピュータメモリ装置のハード磁気ディスク用アルミニウム基盤に生かされています。
また、高度な情報を扱う電子機器が、外部からの磁力線やノイズ電波、静電気に誘発されて誤作動しないように保護する電磁波遮蔽材(シールド)としても、軽いアルミニウムが適しています。
 熱を良く伝える
アルミニウムは銀や銅には及ばないものの、鉄の3倍もの熱伝導率を持っています。しかもアルミニウムの密度が銀や銅の約1/3という軽さのため自動車のラジエータをはじめ、冷暖房装置の放熱用エバポレータやLSI用放熱フィン、あるいは、家庭用湯沸・鍋のような調理器具などにも広く使われています。
 光や電磁波を良く反射する
アルミニウムの光反射率は67〜82%で、高純度アルミニウムを電解研磨した場合は94〜98%となり、銀の92%より高いのです。また、アルミニウムは、紫外線から赤外線、さらに電波までの幅広い波長の光や電磁波をよく反射します。この高反射率を生かして、反射望遠鏡、光学機器用ミラー、照明器具用反射板、屋根材、テレビアンテナ、パラボラアンテナなどに使われます。
 電気を良く通す
アルミニウムの電気伝導度は銅の60%ですが、アルミニウムの比重が銅の約1/3と軽いため、同じ重量の銅線に比べて約2倍の電流を流すことが出来ます。また、異種金属と接触しても微弱な電気信号を確実に伝えるため、ICボンディングワイヤーやLSIチップの中を神経のように縦横に走る配線材として使用されています。
 低温に強い
銅は−62℃以下の低温ではもろくなるので、構造材として使用できませんが、アルミニウムは−200℃の極低温においても強度はかえって増加するので、低温における構造材として適しています。高真空装置を液体窒素温度や液体ヘリウム温度に冷却して使用するのにも適しています。

 リサイクルしやすい
アルミニウムの融点が660℃と低くアルミニウムのスクラップを溶解再生する際に必要な熱エネルギーは、ボーキサイトから新地金を製造する時に要する熱、電気エネルギーのおよそ1/28で済みます。また、品質も良好なためスクラップ価値の高い金属です。
 耐食性が良い
自然的な緻密な表面酸化膜が生じて腐食を保護します。 更には、人工的に酸化膜(アルマイト)を厚くする事により完全な耐食性を与える事が出来ます。
鉄のような赤サビない。
 表面処理が自由
無色透明な銀白色の酸化皮膜を表明に形成させるアルマイト処理により耐食性、耐磨耗性を改善させる事が出来る。 又、染色や電解発色などの方法で種々な色調を与える事が出来る。
 毒性がない
衛生上無毒で食品とも反応しない。
缶ビール、ジュース、アルミホイルなどの食品容器、包装材や家庭用金物などに広く用いられている。


表 1−1 アルミニウム材料の陽極酸化処理性
合金番号 陽極酸化処理の目的 合金番号 陽極酸化処理の目的
防食 染色 光輝 耐磨耗 防食 染色 光輝 耐磨耗
1080 7075
1070 7N01
1050 AC1B
1100 AC2A
2011 AC3A
2014 AC4B
2017 AC4C
2024 AC5A
3003 AC7A
3004 AC8A
4043 AC9A
5005 ADC1
5052 ADC3
5056 ADC5
5083 ADC6
5N01 ADC10
6061 ADC12
6063
6N01
                                    (JIS H 8601 附属書)
☆☆ 陽極酸化処理性 A.優  B.良  C.可  D.困難

アルミニウム材料とアルマイト品質の関係
アルマイトとめっきの違いは、皮膜生成の違いにあります。めっきは、被処理物の表面に金属層を被覆させるため、素材の材質や組織の影響は少ないのですが、アルマイトは陽極酸化で発生した酸素と素地のアルミニウムが結合して酸化アルミニウムの皮膜が成長してできるため、アルミニウム素材の材質、金属組織に大きく影響されます。
 材質が違うと、外観や皮膜厚さ、硬さなど皮膜の品質が異なる場合が多いので、材質の違いはもちろん、同じ系統の材質でもメーカーやロットの違いに注意する必要があります。使用材料とアルマイト品質の関係を理解して、設計時点で目的に適合したアルミニウム材料を選択する必要があります。 また、形状、面粗度、機械的前処理、化学的・電気化学的前処理によるいわゆる表面テクスチャーもアルマイトの色調や質感を決定する要因です。
材質・合金成分のアルマイトへの影響
アルミニウムに含まれる合金成分はアルマイトの外観や品質に大きな影響があります。
材質と陽極酸化処理性の関係を 表1−1 に、合成成分の影響を 表1−2に示します。
電解により溶解する金属(Cu,Feなど)は、光沢を低下させ、乳白色となります。また、面粗さが生じ他と比較して皮膜は薄くなり、硬度は下がります。更に、耐食性は劣り、染色した場合耐光性が劣ります。
Si,Mn,Znなどが含まれるとその金属特有の発色をします。同一の色調を要求する場合は使用材料に注意することが必要です。 硬質アルマイトの場合には、アルマイトの性能に大きな違いが出るので材質、成形方法の選択は大変重要です。
熱処理による影響
材質が同一であってもアルマイト処理をすると、熱処理の差で光沢や色調に差が生じることがあります。 一般に硬度が高い材料は、澄んだ光沢が残り、硬度が低い材料は光沢が低下して乳白色に変化します。 熱処理を繰返すことにより、結晶が肥大化して結晶模様が発生し、アルマイトしたときに外観を損ねる場合があります。
肥大化した結晶は、圧延材では素材目(板目)として現れ、皮膜剥離の原因になる場合があります。
素材加工・前処理(表面テクスチャー)
による影響

表面テクスチャーとは、素材特有の表面性状と前処理で作り出された表面模様を総合的に表す用語です。 アルマイトの前に行う材料の前処理は外観仕上がりに大きく影響するので、目的とする外観を得るため機械的、化学的前処理が行われます。 意匠性が大事な品物は、これらの特長を良く理解して設計する必要があります。
形状による影響
同一素材であっても、平面と曲面では色調や質感に違いが出る場合があります。
また曲率半径が小さい品物の場合、凸部ではクラックが、凹部では剥離が発生することがあります。 曲面のRは皮膜厚さに対して40倍以上あることが望ましいとされます。

表 1−2 主な合金成分の皮膜性状に及ぼす影響
(硫酸浴電解の場合)

合金成分 皮膜性状
けい素 不透明、発色(灰黒色)、
皮膜厚さ不均一
不透明、皮膜厚さ不均一
マンガン 不透明、発色(淡黄色)
クロム 不透明、発色(黄色)
不透明
マグネシウム 添加量が多いと不透明化
亜鉛 顕著な影響を及ぼさない
                        (JIS H 8601 附属書)




封孔処理
アルマイト(陽極酸化)処理を行った後は、必ず封孔処理が必要である(電着塗装を行うものについては別)。 つまり酸化皮膜には多数の孔があり、この孔は吸水性であり、このままでは皮膜に耐久性、汚れ、耐食性が無いので、これを次の方法により処理を行う。
加圧水蒸気による封孔処理
アルマイト皮膜を施した品物を十分に水洗いした後、耐圧高圧容器内に入れ、3〜5気圧の蒸気を送り、20分〜30分間保ち、封孔する方法であり、確実で性能的には優れているが、作業能率は悪い。
沸騰水中の封孔処理
アルマイト皮膜を施した品物を十分に水洗いした後、純水、95〜100℃の加熱水浴中に30分位保って封孔処理を行う。封孔水のPHは5.5〜6.5以内にて行い、水の汚れや、PH6.5以上になると、粉吹き現象が表面に発生する事がある。 この方法は作業能率が良く、現在多く使用されている。
無機物もしくは有機物の添加による封孔処理
酢酸ニッケルか酢酸コバルトの水浴液中にて処理する方法で、温度は95℃以上にて10〜20分間保持する。
着色した製品はこの方法にて封孔処理を行っている。